家具の作り方 木工の基本  
.木の種類
広葉樹と針葉樹に大きく分けられます。
広葉樹は、マホガニー、ウォールナット、チェリー、ブナ、キリ、カエデなどが代表的です。
針葉樹は、パイン、スプルースツガ、ヒノキ、スギ、エゾマツ、アガチスなどがあります。

家具材として、何が優れているかと言うのは、作る家具の特性や作り手の好みなどによって、違い一概に言うことはできません。個々の木材について詳しく知りたい方は、木材図鑑が参考になると思います。

私の場合は、カントリー家具、パイン家具しか作りませんので、そこを中心にしたいと思います。
主に家具材として、使用しているのは、北米産のポンデロッサパインとウエスタンホワイトパインです。
カントリー家具と言えば、ポンデロッサパインと言うほど日本では、もてはやされています。木色は、芯材部分では、淡赤色から橙褐色で、辺材部分が幅が広く白色〜淡黄色で、薄いバターのような色です。年を経るごとに深みのある飴色に変化して、味わい深くなってきます。
節は、大きいく多いですが、粘り強く、抜けてしまうような節は、比較的少ないです。この節を適度に入れてやるとカントリー家具らしい素朴なものに仕上がります。
適度に柔らかく、加工はしやすいですが、ヤニが一か所に溜まったヤニツボが多いのが欠点です。
ヤニツボの処理の仕方



ポンデロッサパイン


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ウエスタンホワイトパインは、ポンデロッサパインに比べて、木肌が美しく上品な仕上がりになります。節は、ポンデロッサパインに比べて小さく、少ないですが死に節もあるので注意が必要です。
加工はしやすいですが切り口が欠けたり、毛羽立ったりしやすいようです。
一般的には、ポンデロッサパインより高級とされ、値段も高価です。






ウエスタンホワイトパイン(ホワイトパイン)







これらは無垢材で板の幅も狭く、大きな家具を作る際は、接ぎ合せ(板を貼り合わすこと)をする必要があったり、板が反っていたりすることが多く、扱うにはそれなりの道具と技術が必要になります。小物作りはできますが、大きな物を最初から無垢材で作るのは難しいかもしれません。

そこで便利なのが、集成材です。集成材は、無垢材のピースを貼り合わせたもので、均一で変形しにくく扱いやすい板です。板の大きさも様々なものがあり、面倒な下処理が不要で簡単に使えるところが良いところです。
私も家具作りを始めたころは、集成材を使用していました。その後、家具の構造部分は、集成材にして、目立つ部分を無垢材で作るように、段々と家具作りに慣れてきたころにすべて無垢材の家具を作るようになりました。
まずは、集成材で家具を作ってみて、趣味として長く続けられると確信してから、無垢材家具作りに必要な手押しカンナ盤や自動カンナ盤を購入する法が良いと思います。
集成材には、フィンガージョイント、横接ぎなどがあり、その違いによっても仕上がりが変わってきます。カントリー家具のような素朴な感じを出したいのであれば横接ぎが理想です。


パイン集成材


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SPF材・・・ホームセンターなどで安価に手に入るので、利用価値は高いです。これも無垢材なので
きっちりした家具を作るには下処理が必要です。パイン、ファー、スプルースが混在した材で、2x4建築などの建材として使われます。
工房で使うようなツールには時々使用します。やはり、質が均一でないのであまりきれいな家具は作れませんが、運がよければきれいな材に当たることもあります。

シナべニヤ・・・シナを貼ったきれいなベニヤ板。薄くて丈夫、狂いが少ないので、引出の底板や家具の背に使うことがあります。

羽目板・・・家具の背板に使います。カップボードやブックシェルフのように背板が見える家具では、これを使うと豪華になります。

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2、木の特性
無垢の木で作った家具は、生きていると良く言われます。
実際には成長するわけではありませんから生きているというのは言い過ぎかもしれません。ただ、呼吸することは確かです。
大気中の空気を吸い込み、吐き出します(生命活動ではありませんが)。同時に空気中の水分(湿気)も取り込み、排出されるわけでこれが、板が反ったり伸縮したりする原因になるから厄介です。
湿度が高いと無垢材は伸び、低いと縮みます。湿度が高い雨季や夏に扉がきつくなったり、引き出しが動きにくくなるのはこのためです。
また、木表(木の表皮側)と木裏(木の中心側)の伸縮度合いが違うため木は、木表側に反ってしまいます。
木は湿度に対してとても敏感です。
ですからよく乾燥させた木を用いて家具を作ることが重要になってきます。乾燥が不十分な木で家具を作ればいづれ木の乾燥とともに反りや伸縮が大きく起こり家具はガタガタになってしまいます。
だからと言って温度、湿度を一定にした部屋に家具を置いておくのは不可能ですし、日々使われることが家具の本分ですから生活環境の中に置かれることになります。
せいぜい冷暖房の側や直射日光を避けるのが精一杯のコントロールでしょう。
ニスなどを塗って木を大気から遮断にてやればかなり木の暴れを防ぐことができますが、せっかくの無垢材の木肌を楽しむことができなくなり、カントリー家具の素朴さも失われてしまいます。

無垢材の良さを残しながら家具としての性能を維持するには、どうしたら良いのでしょう。
それは、家具を作る際に無垢材の特性を理解し時間経過とともにどう変化するかを考慮して設計、作成するしかありません。
要するに木に逆らわないことが重要になります。

@ 木の伸縮
木は乾燥伸縮します。
伸縮は、木目と縦方向では、ほとんど発生しません。(右図のA方向)

伸縮が顕著なのは、木目と横方向(板目)です。(右図のB方向)

マツの収縮率は、(パイン材やSPF材もこれに近い数値を表す)
含水量1%の変化に対して横方向(板目)の収縮率は、0.3%
                 柾目で0.15%となっています。
                 縦方向では、0.013%とほとんど変化しません。

日本の平均含水率(木が含む水分の割合)は、15.2%ですが、季節により変わり地域によりかなり差があります。東京では、1・2月が一番低く、7月に最高点を向かえます。その差は約5%ありますから木の収縮は、1.5%ある計算になります。

例えば板目で250mmの扉を作ると
    250mmX0・3%X5=3・75mm 伸縮することになります。驚くことに約4mmも変化してしまいます。
これを考えずに一番含水率の低い1・2月に隙間なく扉を作れば夏に向かうに従って扉は伸び、開かない閉まらない、となるのは明らかです。
ですから冬の含水率の低いときには、扉の横幅を4mm短く作り、夏の含水率の高い時に作ればほぼピッタリ作って良いことになります。

しかし、扉の隙間を4mmも空けて作ったら見栄えの悪い家具になってしまいます。そこで扉の裏側に反り止めを付けるわけです。
扉の裏側に縦方向の木を打ちつけるのを反り止めと言いますが、これにより木の伸縮を半分にすると言われています。つまり反り止めを付けることにより隙間を2mmにすることができるわけです。

板が大きくなればなるほど伸縮も大きくなりますから、扉やテーブルの天板などを作る時は注意しなけばなりません。

大きな扉では、伸縮を抑える框組などで作ることをお薦めします。

框組の扉
A 木の反り
板目の木は、板の場所により収縮率が違うため乾燥伸縮により反りが発生します。
表皮側(年輪の外側)、つまり木表側に反ってきます。乾燥の十分な木ではこれを減らすことができます。また、柾目では起こりにくくなります。

反り止めを打ち付けて抑えたり、十分に乾燥させた木を使うことで最小限にすることができます。
幅広の木を作る時に何枚かの板を接着して接ぎ合わせますが、この際木表、木裏と交互に接ぎ合せていくのも反りを抑えるためです。

特にフリーな扉や、天板などは反りの影響がそのまま出るので注意が必要です。
反りも伸縮の産物なので対策は伸縮と同様で柾目の板を選んで使う、反り止めをつける、大きな扉では伸縮を抑える框組などで作る必要があります。
B 木の強度
同じ木からとった板でもその部分や板の向きで強度が異なります。

通常木目の縦方向では強く、横方向は弱く、10:1の割合と言われています。
右図上のように木目の縦方向に長さとった場合は、強度が強くなりますが、図下のように木目の横方向を長くすると強度は1/10になってしまいます。

例えば図下のような板で踏み台を作ったら乗った瞬間にボキリと折れてしまうわけです。

木取りをする際にはそうならないように注意しましょう。

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